蛙の詩人
川内村を訪ねてみた。福島第一原発から30km圏内に位置するこの村は、しかし、放射線量が少ない場所でもある。その昔、ボクは村内にあるイワナの郷を何度か訪れていた。きれいな水と空気が織り成す雄大な自然の中で、美味しいイワナを堪能したものだ。(今は閉鎖されたまま再開の目処は立っていない。)
そんな川内村は、一時帰宅者の中継ポイントの一つである。たまたまボクは、行政の関係者と接する機会に恵まれた。東電をはじめ医療関係者、民間団体等、多くの方々が集結するその場所は、村の中心部に位置する役場の敷地内にあった。
氏曰く、被災者から暴言を浴びせられることは少なくない…。まぁ気持ちはよく分かる。福島県民にとって、「東電=悪者」的図式が出来上がっており、それは行政にまで波及している。しかし、こうして現場で働く末端の作業員達に何の罪があるのだろうか?彼らはほんの一握りの首脳陣に翻弄された働き蜂、ある意味"被害者"と言っても過言ではない。
…しばらくして、バスで移動する一時帰宅者の姿を目にする。そう、自宅に帰るにあたって防護服に身を包み、時間を制限されるという彼らである。同じ福島県民として心中、察するに余りある。気丈に振舞う彼らの姿に思わず目が潤む…。
ボク達は負ける訳にはいかない。2歩下がっても3歩前に進もうという気力を持とうじゃないか!!未曾有の災害で未曾有の苦労を強いられているのだ。小さな幸せに大きな感動を覚える日が必ずやってくる。
名誉村民でもある草野心平なら、どんな詩を詠んだだろう。それは、きっと被災者の心の中に刻まれている。



